通常の筋トレと異なり、インナーマッスルの鍛え方は意外とわからないものです。
また、インナーマッスルという言葉自体は知っていても、「インナーマッスルはなぜ鍛えるの?」と疑問を持っている人もいるでしょう。
インナーマッスルを鍛えると、特に女性にとって嬉しいメリットが得られます。肩こり解消や女性らしい体のラインを手に入れたい人は、ぜひトレーニングを始めましょう。
この記事では、インナーマッスルについて説明し、鍛えるべき理由や女性が注意すべき点などを紹介します。
そもそもインナーマッスルとはどこのこと?
インナーマッスルとは、体の表面の筋肉ではなく、体の深いところにある筋肉のことです。
体の表面の、目に見える筋肉を「アウターマッスル」と呼ぶことから、「インナーマッスル=体幹」と間違えて覚えている人もいます。
しかし、体幹は頭・腕・足以外の胴体すべての筋肉を意味する言葉です。インナーマッスルには体幹だけでなく、腕や足の深い部分にある筋肉も含まれます。
たとえば、電車の中でつり革や手すりにつかまらずに立つ際、踏ん張るために使うお腹の内側や太ももの内側の筋肉もインナーマッスルです。
アウターマッスルとインナーマッスルは、鍛え方や効果、休ませ方などが異なります。そのため、インナーマッスルを鍛えたいのであれば、インナーマッスル向けの方法を実践しなければなりません。
ここでは、女子必見のインナーマッスルの簡単な鍛え方のコツを紹介します。
女子こそインナーマッスルを鍛えるべき理由
女子がインナーマッスルを鍛えるべき理由は、以下の4つです。
1. 肩こりや冷えを改善する効果があるため
2. 女性らしい体のラインを手に入れるため
3. ホルモンバランスを整えるため
4. 太りにくく痩せやすい体になるため
それぞれについて、詳しく解説します。
★JATI-ATI認定トレーナー 首藤陸 コメント 僕の経験上、インナーマッスルを鍛えた結果、腰痛が改善されたお客様が非常に多いです。
多くの方は、インナーマッスルが弱いことが原因で姿勢不良を引き起こしています。
姿勢不良の状態でトレーニングを行うことで、トレーニングフォームが乱れてしまい、腰へのストレスが強くかかってしまいます。
なので、インナーマッスルを鍛えることで、体幹部を安定させ、正しいフォームでトレーニングを行うことができるため、腰痛の対策と改善をすることが期待できます。
「みんなのパーソナルトレーニング」では、NSCA認定トレーナー(NESTA-PFT、NSCA-CPT)や管理栄養士の監修の基、情報提供を行っております。
1. 肩こりや冷えを改善する効果があるため
インナーマッスルを鍛えると、体の奥深い部分の筋肉が鍛えられることによって体温が上がり、脂肪燃焼を促します。血流が改善されるため、手足の冷えを軽減する効果が期待できるでしょう。
また、血流がよくなることで、肩こりや腰痛を改善する効果もあるといわれています。
肩こり、冷え性は、多くの女子がもつ体の悩みです。ある調査では、働く女性の5割前後が肩こり、冷え性に悩んでいるという結果が出ています。[注1]
「しつこい肩こりをどうにかしたい!」と日々悩んでいる女子にとっては、インナーマッスルのトレーニングが一つの解決法となるかもしれません。
[注1]日経スタイル:働く女性の体の悩み調査 5割以上が首・肩こりに問題
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO57204450V20C20A3000000/
2. 女性らしい体のラインを手に入れるため
「筋肉をつけたいけれど、筋トレをして太くなってしまうのはイヤ」という女性もいるでしょう。
確かに、アウターマッスルは体の表面の筋肉ですから、鍛えると筋肉が盛り上がって、たくましい体つきになります。
しかし、インナーマッスルのトレーニングは、体の奥の筋肉を鍛えるため、鍛えても筋肉が盛り上がることがありません。
また、インナーマッスルを鍛えると、骨格や内臓などが正しい位置に戻るため、姿勢がきれいになります。このため、インナーマッスルのトレーニングは、女性らしい体のラインを手に入れたいという人にも適しているといえるでしょう。
また、姿勢がきれいになることで、見た目も美しくなります。若々しさをキープしたい女子にとっては、うれしい効果です。
さらに、インナーマッスルが弱ってくると内臓が下がり、ポッコリお腹の原因となります。
インナーマッスルを鍛えて内臓を正しい位置に戻すことによって、くびれのある理想的なウエストを目指すことができるでしょう。おしゃれの幅が広がり、洋服選びがさらに楽しくなるかもしれません。
3. ホルモンバランスを整えるため
筋トレは、女性ホルモンバランスの乱れの原因となる、ストレスや運動不足の解消に効果的です。
筋トレを日常生活に取り入れることは、女性ホルモンバランスを維持するのに役立つとされています。
しかし、負荷の高い筋トレは、逆に女性ホルモンバランスを乱すリスクがあります。なぜなら、高負荷のトレーニングによって疲労が溜まり、疲労の蓄積は女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼすからです。
したがって、女性ホルモンバランスを整えるためには、軽めの筋トレが効果的とされています。インナーマッスルのトレーニングは、アウターマッスルのトレーニングに比べると負荷が軽く、女性ホルモンバランスを整えるのに適していると考えられています。
4. 太りにくく痩せやすい体になるため
インナーマッスルを鍛えると体温が上がり、基礎代謝を高めることができます。
基礎代謝は人が生きていくために必要なエネルギー量のことです。基礎代謝が下がると1日の消費エネルギー量が減るため、痩せにくい体となります。
脂肪が燃えやすく、太りにくい体を目指すためには、基礎代謝を高めることができるインナーマッスルのトレーニングが効果的といえるでしょう。
「これまでダイエットに挑戦したけれど、思うような効果を得られなかった」「途中で挫折してしまった」という女子ならなおさら、太りにくい体を手に入れられるインナーマッスルのトレーニングがおすすめです。
また、インナーマッスルのトレーニングの場合、負荷を小さくして、回数を多くすることで効果が上がりやすくなります。
インナーマッスルのトレーニング自体が女子にとって取り組みやすいトレーニング方法といえるでしょう。
女子におすすめのインナーマッスルの鍛え方
アウターマッスルを鍛える筋トレは負荷が高く、女性が始めるにはハードルが高いともいえます。しかし、インナーマッスルのトレーニングは負荷が比較的小さいので、女性でも簡単に取り入れることができます。
また、以下のようなコツを知ることによって、インナーマッスルを簡単に、効率的に鍛えることができるのもうれしいポイントです。
1. まずは筋膜をリリースする
インナーマッスルのトレーニングを始める前に、まず、凝り固まった筋肉を十分にほぐしましょう。これが1つ目のコツです。
トレーニングの効果を十分に得るためには、柔軟に筋肉を動かすことができるよう、筋肉をほぐしておくのがよいとされており、筋膜リリースとして知られています。
筋膜とは、体全体の筋肉を覆っている薄い膜のことで、筋肉が正しく動くためには、筋膜が柔軟に動くことが重要です。
筋膜リリースは、ローラーなど専用の器具を使う方法もありますが、テニスボールやゴルフボールでも代用できます。
やり方は簡単です。首、お尻、背中、わきの下、足裏など、疲れがたまっている部位やコリが気になる部位をボールの上にのせて体重をかけ、気持ちよいと感じる強さでボールを30秒ほど転がして、コリをほぐすだけ。
筋膜リリースは、全身が気持ちよくほぐれ、気分的にも良い状態でトレーニングを開始することができるという点でも、トレーニング前に取り入れたい習慣といえるでしょう。
2. とにかくトレーニングを始める
2つ目のコツは、インナーマッスルを鍛える代表的な運動をとにかく始めることです。以下で紹介している3つの運動は、インナーマッスルを鍛える運動としては一般的なものです。
1. ドローイン
2. プランク
3. ヒップリフト
1. 腹部のインナーマッスルを鍛えるドローイン
ドローインでは、腹部のインナーマッスルを鍛えることができます。
腹部のインナーマッスルは、体全体を支える働きのある筋肉のため、最初に鍛えることで、他の筋肉を鍛えるときのパフォーマンス向上にもつながります。
まずは、ドローインから始めてみるのがよいでしょう。
やり方は以下の通りです。
1. 両ひざを曲げ、仰向けに寝ます。
2. お腹の上に両手をのせて、息を吸いながらお腹を膨らませます。
3. ゆっくりと10秒間かけて息を吐き出しながらお腹をへこませます。
2. 全身を鍛えられるプランク
プランクと呼ばれるトレーニングです。これも、インナーマッスルを鍛える定番のトレーニングで、全身を鍛えることができます。
1. うつぶせになり、両肘をつきます。
2. つま先を床に立てて、両足をつけたまま30秒~1分キープします。このとき、頭から膝までが、一直線になるようにします。
プランクを行ううえで重要なポイントは、腰やお腹を下げないことです。
腰痛を引き起こしやすいトレーニングのため、正しい姿勢を維持するようにしましょう。腰痛持ちの人は、特に注意が必要です。
★JATI-ATI認定トレーナー 首藤陸 コメント 腰痛持ちの方におすすめのインナーマッスルを鍛えるためのトレーニングは「バードドッグ」という種目です。
バードドッグのやり方
1. 四つ這いの姿勢をとる
2. 対角の手と足を伸ばす
3. 肘と膝を近づけるように手と足を体に寄せる
回数
左右10回×3セット
バードドッグを行う際のポイント
1. 手と足を寄せる際は、息を吐きながら寄せる
2. 腰をしっかりと丸めて、お腹に力を入れる
3. 手と足を伸ばす際は、腰が反らないように注意
バードドッグは、腰を丸めて体幹を鍛えることのできる種目です。
腰痛の方の多くは、腹圧が抜けて姿勢不良になっています。
なので、腰を丸めて腹圧を入れやすい状態で行うことのできるバードドッグが腰痛改善におすすめのトレーニングです。
3. お尻のインナーマッスルを鍛えるヒップリフト
次におすすめしたいのが、ヒップリフトです。ヒップリフトは、お尻のインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。
お尻主に、大臀筋、中臀筋、小臀筋という3つの筋肉で形成されていますが、ヒップリフトは、3つの筋肉のうち最も大きい筋肉である大臀筋を鍛えることができるため、ヒップが引き締まり、きれいなヒップラインが手に入ります。
お尻が引き締まると、下半身のシルエットが美しくなり、特に女子におすすめしたいトレーニングです。
1. 仰向けに寝て両ひざを立て、手のひらは床につけます。
2. 両手、両足で床を押して、骨盤を天井に近づけるイメージでゆっくりとお尻を持ち上げます。
3. ひざからお尻、鎖骨までが一直線になったら、ゆっくりとお尻を床におろします。
ヒップリフトは腰を反らせないこと、かかとを地面につけたままの状態にすることを意識して行ってください。
3. 運動を日々の習慣にする
3つ目のコツは、運動を習慣化することです。
インナーマッスルのトレーニングの魅力は、手軽に行えることです。アウターマッスルを鍛えるには、ジムにいってマシンを使ったり、自宅でトレーニングしたりするとしてもある程度のスペースが必要で、場合によってはダンベルなどの器具も必要になります。
しかし、インナーマッスルのトレーニングであれば、容易に行うことが出来ます。先ほど紹介したドローインは、立ったまま、座ったままでも行うことができます。
オフィスでの休憩時間や通勤電車の中、信号待ちの合間など、さまざまな場面でトレーニングできます。また、電車の中で揺れに抵抗して倒れないよう立ち続けることも、インナーマッスルの鍛え方の一つです。
もちろん、「自分一人で運動にチャレンジするのが苦手」「三日坊主になりそうで心配」という人もいるでしょう
そんな人は、一緒に運動する仲間を作るのがおすすめです。なかには、ネット上で一緒にトレーニングする仲間を探す人もいます。
それでも続けられる自信がないという人は、ジムやスタジオのクラスに参加したり、マンツーマンのレッスンを受けたりという方法を検討するとよいでしょう。
自分に合う方法を見つけて、運動を習慣化することが、インナーマッスルを鍛えるための近道です。
4. 呼吸と筋肉を意識して効率的に鍛える
4つ目のコツは、呼吸と筋肉を意識してトレーニングを行うことです。トレーニングの内容自体は変わらなくても、少し意識するだけで、より高い効果が得られるようになります。
インナーマッスルは呼吸筋と関係が深いため、呼吸を意識しながらトレーニングを行うと効率的に鍛えることができます。
それだけでなく、深い呼吸により酸素を十分に体内に取り込むことで細胞が活性化され、筋肉のはたらきが活発になることが期待できるのです。
また、どこの筋肉を鍛えようとしているのかを意識してトレーニングを行うと、効果が出やすいといわれています。鍛えようとする筋肉の上に手を乗せ、トレーニング中に筋肉の動きを感じるのもおすすめです。
インナーマッスルを効率的に鍛えるためにも、呼吸と筋肉を意識したトレーニングを行いましょう。
インナーマッスルを鍛えたい女子が気をつけること
ここでは、インナーマッスルを鍛えたい女子が気をつけるべきことを2つ紹介します。
1. 適度なペースで行う
筋肉は、運動を行った後に一度傷がつき、修復される過程でさらに強くなるといわれています。これを「超回復」と呼びます。この超回復のときに炎症を起こすのが筋肉痛です。
アウターマッスルを鍛えるときには、この超回復に時間がかかるため、次のトレーニングまでに2~3日間をおくとよいとされています。
しかし、インナーマッスルはアウターマッスルと比べると回復期間が短めです。そのため、トレーニングの回数はアウターマッスルよりも多く行う方がよいとされています。
インナーマッスルのトレーニングの場合には、毎日または1日おき程度のペースでトレーニングを行うと効果が出やすいといえるでしょう。
もちろん筋肉痛になってしまった場合は、無理に動かさない方が無難です。前述のとおり、筋肉痛は超回復のときに起きる炎症なので、無理に動かすと回復が追い付かなくなってしまう可能性があります。
その代わり、軽めのストレッチやマッサージで、筋肉痛を和らげましょう。筋肉を作るためのバランスのよい食事と、疲労回復を促す十分な睡眠をとることも大切です。
2. 運動後にたんぱく質と糖質を摂る
運動後の食事にはたんぱく質の吸収を促す効果があるため、運動でインナーマッスルを十分に刺激したら、たんぱく質を摂るよう心掛けましょう。
目安として運動後30分以内にたんぱく質を摂取することで、インナーマッスルを強化する効果が期待できるといわれています。
また、筋肉を作るためのたんぱく質とともに、エネルギー回復のための糖質も合わせて摂りましょう。糖質はたんぱく質と組み合わせて摂取することで筋肉の合成が促進されるので、両方摂ることでトレーニング効果を高めることができます。
すぐに食事がとれない場合、おにぎりやバナナなどの捕食を活用するのがおすすめです。
アミノ酸がバランスよく含まれたたんぱく質を摂取する
たんぱく質のなかでも、アミノ酸が好バランスで含まれていると良質なたんぱく質とされています。アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質が良質とされている理由は利用効率にあります。
良質なたんぱく質は体内で効率よく利用でき、老廃物となるものが少ないのが特徴です。良質なたんぱく質を含む食品として、肉類や魚介類、牛乳・乳製品などが挙げられます。
インナーマッスルを鍛えるうえではこれらの食品を積極的に摂取しましょう。
インナーマッスルを鍛えるためにはまずトレーニングを習慣に
インナーマッスルとは体の深いところにある筋肉を指します。トレーニング方法はアウターマッスルと異なるため、注意しましょう。
インナーマッスルを鍛えるメリットはさまざまです。とくに肩こりの改善、女性らしい体のライン、女性ホルモンのバランス、太りにくい体などが目指せる点は、女子にとってうれしいポイントといえます。
インナーマッスルを鍛えることは難しいことではありません。まずは、自分が始めやすい運動を見つけて、習慣化しましょう。