監修者 : NSCA認定トレーナー 小林広和
美しいボディを手に入れるためや健康のために筋トレを始めようと考えている人もいるでしょう。筋トレを継続していくことで身体が引き締まっていき、自分の理想の体型に近づいていくはずです。
ただし、あまり知られていませんが、効果的にトレーニングするための順番があり、実は大きい筋肉から小さい筋肉へ筋トレをするのが最適です。
そこで、この記事ではNSCA認定トレーナー 小林広和監修の基、下半身から筋トレを始めたほうがよい理由や、そのトレーニング方法などについて紹介していきます。
筋トレをこれから始める方はまず下半身強化から!
筋トレを始めるときに下半身強化からがベストなのは「効率的に筋肉を鍛えられるから」です。なぜかというと、一般的に「大きい筋肉を鍛えると効果の転移によって小さい筋肉も鍛えられるから」です。
ここでいう効果の転移とは、ある部位を動かすことで間接的に他の部位の運動にもなっていることを指します。大きい筋肉の周囲には小さい筋肉もたくさんあるため、大きい筋肉を鍛えることで必然的に周辺の筋肉のトレーニングにもなるというわけです。
また、大きい筋肉を鍛えるためには、それなりの運動量も必要になります。つまり、トレーニングとして大きな負荷が必要になるということです。結果的に運動量が増えるため、ダイエットや筋トレの効果がアップするでしょう。小さい筋肉から先に鍛えると大きい筋肉を鍛えるときにスタミナ切れを起こすという失敗をしてしまいがちですが、そのようなリスクも減らせます。
下半身には大きな筋肉がたくさんあるため、筋トレをこれから始める人は先に下半身強化をすることがおすすめです。
なぜ下半身からなのか?
下半身には全身の筋肉の70%があるといわれています。また、大きな筋肉もたくさんあるので、前述した大きな筋肉を鍛えるメリットと合わせて下半身から筋トレするのが効果的だといわれているのです。
実際に全身の筋肉のうち、大きい筋肉ベスト5は「三角筋」「大臀筋」「ハムストリング」「下腿三頭筋」「大腿四頭筋」ですが、三角筋以外は下半身に集中しています。
手っ取り早く見た目を改善するために腕立て伏せなどで上半身の筋肉から鍛えようとする人もいますが、あまり効果的ではないケースも多いです。基本的には筋肉量の多い、下半身から筋トレを始めていきましょう。
下半身を強化すると基礎代謝が向上しやすくなり脂肪がつきにくくなるため
下半身を強化することで得られるメリットは効果の転移による筋トレの効率化だけではありません。ダイエットの観点からも下半身強化を先にすることは効果的です。
一般的に基礎代謝が向上すると脂肪が燃焼しやすくなるため、痩せやすい身体が出来上がります。消費するエネルギー量が多くなればなるほど基礎代謝は向上するので、基本的には筋肉量を増やせば自然と基礎代謝も向上します。
大きな筋肉が集まっている下半身を強化すれば一度にたくさんの筋肉を鍛えられるので基礎代謝も向上しやすくなり、効果的なダイエットにつながるというわけです。
姿勢も良くなるため
理想の体型を作り上げるためには、下半身だけでなく上半身の筋トレが必要なのも確かです。しかし、上半身を鍛えるためには、その土台となる下半身がしっかりしていなくてはいけません。
たとえば、上半身を鍛えるためにバーベルなどを使う場合もあるでしょう。ところが、バーベルを効率的に使って筋トレするためには、正しい姿勢をキープする必要があります。
バーベルの重みを受け止めるための下半身の筋肉が育っていなければ正しい態勢をキープできず、非効率な筋トレになってしまうかもしれません。また、間違った姿勢で負荷をかけた筋トレをすると、腰などを痛めるリスクも考えられます。継続して効果的な筋トレを行っていくためにも、下半身の強化からしていくようにしましょう。
運動器症候群になるリスクも下がるため
運動器症候群より「ロコモティブシンドローム」という名前のほうが聞き覚えのある人も多いかもしれません。ロコモティブシンドロームとは、簡単にいうと運動機能の低下によって歩いたり、立ったりといった日常的な動作に支障が生じてしまう人のことを指します。
基本的には運動不足の人に対して用いられる用語ですが、下半身の筋トレをおろそかにしていると筋肉量のバランスが悪くなり、ロコモティブシンドロームと診断される可能性も高まります。
立つ、歩くといった行為が満足にできなくなると、日常生活で非常に不便を感じるうえ、動くのが億劫になってダイエットに取り組む気が失せてしまうかしれません。筋トレをするときはロコモティブシンドロームの予防もかねて下半身の強化から取り組みましょう。
★NSCA認定トレーナー 小林広和 コメント 下半身は全身の7割の筋肉を占めている為、トレーニングメニューの組み方がとても大切です。
前回のトレーニングや筋肉痛などコンディションによって毎回の運動量は異なりますが、トレーニング後にしっかりと下半身の筋肉を使ったなぁ!と感じられるくらいのメニューを取り入れられるといいでしょう。
自宅でもできる簡単な下半身トレーニング
筋トレやダイエットはパーソナルトレーニングジムで行うと効果的ですが、自宅でも簡単なトレーニングであれば行うことができます。
自宅で行うトレーニングのポイントは自重を効果的に利用することです。
専門器具がない自宅であっても、自重を利用すれば簡単に筋肉に負荷をかけられるのである程度効果的な筋トレができるでしょう。そこで、ここからは自宅でできる簡単な下半身トレーニングを紹介していきます。
ノーマルスクワット
下半身の筋トレで代表的なのがノーマルスクワットです。ノーマルという名前が付いているとおり、いくつもあるスクワットの種類のなかでも最も一般的な形です。
どのようなトレーニングにもいえますが、正しい姿勢で行わないと効果が弱まってしまうので気を付けましょう。
ノーマルスクワットの正しい方法は、まず足を肩幅程度に開いたうえで、つま先は真っすぐ前に向けます。次にその体制を維持したままで、できるだけ背筋を伸ばして股関節を折り曲げるように膝を曲げていきましょう。
このときに背中が丸まってしまうと自重が下半身にきちんと伝わらず、効果的なトレーニングにつながらない可能性があるので気を付ける必要があります。
おしりと膝が同じぐらいの高さになるまで膝を折り曲げたら、また元の姿勢になるようにゆっくりと戻していきましょう。膝を曲げるときはつま先よりも前に出ることがないようにするのもポイントです。
ワイドスタンススクワット
ワイドスタンススクワットとは、その名のとおり足を横に広げた姿勢で行うのが特徴で、ワイドスクワットと呼ばれることもあります。
足の幅を広げれば広げるほど大腿四頭筋や内転筋への負荷が高まるので、太ももを効果的に筋トレしたい場合に特に向いています。
また、太ももへの負荷が強いということは、その分膝への負担も減らせるのもポイントです。過度な運動をすると膝が痛むなど、膝を悪くしている人であっても取り組みやすい下半身強化方法だといえます。
ワイドスタンススクワットの正しいフォームは、まず肩幅より広く足を開きます。その際は、ノーマルスクワットと違って足先を外側45度目安に開いておきましょう。
そのまましっかりと直立した状態で、地面と平行になることを意識しながら胸の前で両手を組みます。そして、背筋に力を入れて大腿四頭筋が地面と平行になるまで腰をゆっくりと下ろしていきましょう。
その後は、直立の状態までゆっくりと戻していくまでがワンセットです。
一般的にノーマルスクワットは膝が90度の角度になるのがベストだといわれていますが、ワイドスタンススクワットは地面と平行になるまでしっかりと腰を落とすのがよいといわれています。
ランジ
ランジは下半身の筋トレにおいてノーマルスクワットと同じぐらいポピュラーなトレーニング方法のひとつです。ランジの特徴はスクワットのようにその場ではなく、一歩踏み出しながら足を曲げることだといえます。
上手にトレーニングすれば、臀部や太もも、ふくらはぎと下半身の広い範囲を鍛えられるのがメリットです。
ランジの正しいトレーニング方法は、まず足を腰幅に開いてつま先を正面に向けます。そして、腹筋に力を入れた状態で胸を張るところまではノーマルスクワットと同じです。
しかし、次に足を一歩踏み出しながら太ももが床と平行になるまで膝を曲げていくところが違います。踏み出すときは、着地する順番がかかとからつま先になるように気を付けましょう。
また、あまり前傾姿勢になりすぎるのも良くないので、踏み出した足の膝がかかとの真上にくるぐらいまでで止めるのもポイントです。その後は踏み出した足で地面を蹴って元の態勢に戻るというのを繰り返すトレーニングになります。
なお、ランジでより負荷の高いトレーニングをしたい場合、自宅にあるペットボトルなどに水を入れて両手に持ったままするのも効果的です。ペットボトルに入れる水の量で負荷を調節できるので、自分に合った重さでトレーニングしてみましょう。
カーフレイズ
太ももよりもふくらはぎを重点的に強化したい人におすすめなのがカーフレイズです。カーフレイズの特徴は、かかとを上げる動作を繰り返すことで効果的にふくらはぎのみを強化できる点だといえます。
トレーニングに必要な動作はかかとを上げるだけなので、スペースが狭い自宅でも簡単に筋トレできる点はメリットです。
カーフレイズの具体的なトレーニング方法は、まず壁や手すりなどを利用してバランスをとりながら真っすぐ立ちます。その際は肩幅程度に足を開くことを意識しましょう。
あとは足首をまっすぐ正面に向けたまま、かかとを上げ下げするだけです。ただし、かかとを下げるときに地面につけてしまうと効果が弱くなってしまうので、地面につく寸前で止めて再度上げることだけは気を付けましょう。
フロントブリッジ(プランク)
一度のトレーニングで広範囲の筋肉を鍛えたい人におすすめなのが、フロントブリッジです。フロントブリッジは主に体幹を鍛えることを目的にするトレーニングで、下半身はもちろん腹筋や背筋も同時に鍛えられます。
お腹周りのインナーマッスルを鍛えられるので基礎代謝の向上にもつながり、ダイエットにも効果的なメニューです。
フロントブリッジの正しいトレーニング方法は、まずマットなどを敷いた床にうつ伏せになります。
次に、手と肘をつきながらつま先で上体を起こしましょう。なお、このときの腕は肩幅分開き、肘の角度は90度をキープすることがポイントです。首から足先まで真っすぐな状態をキープすれば腹筋や背筋に負荷がかかっていることが実感できるはずです。
あとは、自分の目標とするタイムまで、そのままの状態をキープするトレーニングとなっています。
フロントブリッジはいきなり一度にたくさんの時間をこなすのは難しいので、インターバルをとりながら短い時間で数回のセットに分けて行うほうがよいでしょう。
★NSCA認定トレーナー 小林広和 コメント
特に多いフォームのNG例は、膝が前に出過ぎてしまっていたり向きが間違っていることや、つま先重心になりかかとが浮いてしまう、上体が倒れるまたは反り過ぎることなどです。
これにより膝腰を痛めるなんてことが起きやすくなるので、ご自分でトレーニングを行われる際はまず正しいフォームを覚えましょう。
日常生活の意識を少し変えるだけでもトレーニングになる
自宅でも自重を利用すれば手軽にトレーニングできますが、仕事などで忙しいと筋トレする時間がないという人もいるでしょう。そのような人におすすめなのが、日常生活の行動のなかでトレーニングする方法です。
筋肉は使えば使うほど鍛えられるので、必ずしも筋トレメニューをこなさないと筋肉量が増えないわけではありません。「歩く習慣をつける」「できるだけ階段を使う」など、意識さえ変えれば日常生活のなかの行動をこなすだけで筋トレにつながるケースもよくあります。
日常生活の意識を変えるだけで筋トレできれば、時間がない人でも手軽に理想のボディに近づけるでしょう。そこで、日常生活で手軽にできるトレーニングのポイントについて紹介していきます。
歩く習慣をつける
日常生活のなかでできるトレーニングとして最もポピュラーなのが「歩く習慣をつける」ことです。たとえ、電車や自家用車で通勤している人であっても毎日の生活のうち、意識すれば歩く時間は確保できるでしょう。
たとえば、「一駅手前で降りる」「職場内でもできるだけ立って歩く」などを意識する方法が挙げられます。どちらも、歩く分だけ時間がかかってしまう点はデメリットですが、その分だけ筋トレできていると思えばメリットが勝る場合もあるでしょう。
なお、歩くといってもただ漠然と歩くだけでは効果的なトレーニングになりません。せっかく歩く機会があるなら、できるだけ足を前へ出し、大股で歩くほうがカロリー消費量は多くなるので試してみてください。
できるだけ階段を使う
駅や勤務先などの日常生活の範囲内で階段を目にする機会がある人は、できるだけ階段を上る習慣をつけましょう。階段を上り下りすることで太ももやふくらはぎなど、下半身の筋肉を広い範囲で鍛えられます。
簡単そうに思える下りでも、太ももの筋肉を大きく使って身体全体を止めているので、しっかりしたトレーニングになります。エレベーターに頼らず、階段を使って効果的な筋トレに励んでみてはいかがでしょうか。
なお、階段を使うときのポイントは、かかとを上げながら上り下りをすることです。一段上にある足を伸ばしながら上がることを意識すれば、片足スクワットをしているのと同じようなトレーニング効果が期待できます。
筋トレを始めるならまず下半身から!
下半身から筋トレすれば大きな筋肉がたくさん鍛えられるので基礎代謝が向上し、ダイエットに効果的です。
また、土台がしっかりするため、上半身のトレーニングを行うときの効果もアップするでしょう。
いきなり腕や腹筋を鍛えようとするのではなく、まずは下半身から筋トレすることをおすすめします。
下半身の筋トレは自重を利用して手軽に行うこともできるので、自宅や通勤時でも意識さえすればできます。忙しくて自宅でトレーニングする時間がない人は、まずはいつもより多く歩いたり、階段をできるだけ使ったりすることを意識してみてはいかがでしょうか。
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■監修者プロフィール 監修者 : アウトライン代表 小林広和
保有資格 : NSCA認定トレーナー
トレーニング歴20年、指導歴13年。自らも格闘技の世界で肉体改造と減量を繰り返し、短期間で10キロの減量は当たり前。経験も豊富で大手プライベートジムでは1年目にしてトレーナーオブザイヤーMVPに輝く。豊かな経験でどんなお客様への対応も可能とし、すべてフルオーダーメイドでメニューを提供することが可能。
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