BMIの計算方法

 最近、生活習慣病に関する話題をよく聞きますが、自分の健康状態を把握するための簡単な方法をご存知でしょうか?

その名をBMIといい、なんとその方法は、自分の体重と身長をある数式へ代入するだけなんです!

「BMI知ってるけど注意して見たことないな…」や、

「そんなことで自分の健康状態なんてわからないだろ…」と思われる方がいらっしゃるはずです。

本記事はそういう方へBMIの重要性をお伝えするための記事となっています。

 

本記事では特に以下3点を重点的に説明していきます。

  • BMIとは何か?
  • BMIの計算方法・判定方法
  • なぜ知る必要があるのか?

 

何度も言いますが、BMIはあなたの健康状態を把握するための大事な指標です。

本記事を読んでBMIについて少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

BMIって?

まずはBMIがどういうものかについて説明していきます。

恐らくBMIについて「聞いたことある!」という方がほとんどだと思われます。ただ、具体的にどういうものかという中身まで説明できる方はあまりいないのではないかなと思います。

 

BMI(Body Mass Index)は、体重と身長の2つの数値を用いて、自分が太っているのかどうかを確認することができる大事な指標です。ボディマス指数とも呼ばれています。

幼児や学童の子供には別の指数(カウプ指数、ローレル指数)が用いられ、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。

BMIはとても簡単に自分の健康状態を知ることができるため、知っていて損はないでしょう。

では、具体的な計算方法などを見ていきましょう。

 

監修者 吉澤さん管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント

BMI以外にもダイエットの指標となる数値はいくつかあります。
有名なものだとまず体脂肪率ですね。これは体重に占める体脂肪の割合を表した数値になります。

また、ウエスト周囲長もよく耳にする指標ですね。

除脂肪体重(LBM)というのも使われます。これは体重から体脂肪を除いた数値になります。
除脂肪体重をもとに基礎代謝や消費エネルギーを算出することができ、摂取エネルギーを決めるうえで非常に重要な指標です。

BMIだけでなく様々な指標をもとにダイエットの目標を決めていけると良いですね。

 

BMIの計算式

何度も言いますが、BMIは身長と体重の2つの値だけを用いて、自分が太っているかどうかを確認できるとても簡単な指標です。

以下計算式を用いて算出できます。

男女別でなく、男性も女性も共通の計算式です。みなさんも実際に計算してみましょう!

 

BMI計算式

BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

 

気を付ける点は単位のみです!

体重は”㎏”の値を、身長は”cm”でなく”m”の値を上の式に代入しましょう!

あと暗算だとちょっと難しいかもしれないので、電卓を用いて計算しましょう。

BMIの判定方法

先ほどBMIの計算方法について説明しましたが、実際に計算して頂けましたか??

ここでは算出した値を用いて、自分の体重が適正なのかどうか見ていきましょう。

計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なります。

日本肥満学会の定めた基準では、BMI18.5未満が「低体重(やせ)」18.5以上25未満が「普通体重」25以上が「肥満」で、
肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

WHO(世界保健機構)の基準では、BMI16未満が「痩せすぎ」、16以上17未満が「痩せ」、17以上18.5未満が「痩せ気味」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上30未満が「前肥満」、30以上から「肥満」になり、
肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満3」に分類されます。

日本と比較すると、世界基準は範囲が幅広く、その分区分も細かいですね、、

また、肥満の定義も日本だとBMI25以上からが肥満なのに対し、世界基準ではBMI30以上から肥満と定義されているようです。

 

「結局、日本基準と世界基準、どちらを参考にすればいいの?」と思われたはずです。

日本肥満学会が作成したものは、日本人の体形を研究して作成された日本人限定のものになっています。
なので日本肥満学会が作成したものを基準に確認してみてください。

 

みなさんのBMIはどこの区分でしたか?

「普通だったし、何もしなくていいや~」という方や、
「肥満だ!すぐにダイエットしないと!」となった方もいらっしゃったはずです。

BMI以外にも肥満度チェック※1といわれる指標もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

※1肥満度チェックに関して

 肥満度%=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100

 日本肥満学会では、標準体重をもとに算出した肥満度±10%の範囲を普通としています。

 -10%未満でやせすぎ、20%以上で肥満になります。

 

ちなみに、日本肥満学会が作成した肥満基準はBMI25で、WHOが作成したものだとBMI30で、BMIが5も離れていました。BMIが5離れていることによって、身長160cmの方の場合、なんと約13㎏※も離れているのです!

結構差がありますよね。。同様に150cmの方の場合だと約11㎏、170cmの方の場合だと約14㎏も離れています。

※計算式 = 1.6(身長) × 1.6(身長) × 5(BMIの差分)

 

監修者 吉澤さん管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント

ご自身のBMIを把握しておくことはかなり重要です。
標準体重とどのくらいの差があるのかを、チェックできるようになるからです。

BMIの算出には難しい計算や精密な機器は必要なく、身長・体重のみで割り出すことができます。

BMIが22になる時が標準体重とされていて、自身の体重を標準体重と比較することが可能です。

また、25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になり、30を超えると高度な肥満として積極的な減量治療を要するものといった目安があるので、病気のリスクを知る上でも役に立ちます。

 

妊婦や子供の判定方法

妊婦と子供

BMIの判定方法で自分のいまの体重が適正なのかどうかわかったかなと思います。
ただ、妊婦さんや子供の場合、成人と同じようなBMIの判定方法は適用できないことを注意しましょう。

BMIでの判定方法が難しい理由ですが、
子供(幼児から学童)の場合は、身長も体重も著しく増加する期間なので、適切なBMIを計ることができないからです。

 

妊婦

妊婦さんの場合、体重増加の激しい胎児を抱えているため、適切なBMIを計ることが難しいです。
令和3年6月1日に日本産婦人科学会より、以下妊娠中の体重増加の目安について  発表がありましたので、こちらを参考にしましょう。

添付の表にもある通り、妊娠前のBMIが18.5未満の低体重の場合、妊娠してから12㎏~15㎏目安の体重増加を推奨しています。
同様に、妊娠前BMIが18.5以上25未満の普通体重の場合、妊娠してから10㎏~13㎏目安での体重増加、妊娠前BMIが25以上30未満の肥満度1の場合は7㎏~10㎏目安での体重増加、妊娠前BMIが30以上(肥満度2以上)の場合は上限5㎏までの個別相談となっています。

妊婦さんの体重管理がここまで重要である理由は、太りすぎると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病によって母胎ともに命の危険性が伴い、瘦せすぎても胎児に栄養が届かないことによって、赤ちゃんが低体重で産まれる、将来生活習慣病に罹患しやすくなるといったことが可能性として考えられるからです。

※表を添付

 

子供

子供の場合、さらに幼児と学童で肥満の尺度となる指数の算出方法が変わってきます。

 

幼児の場合

乳幼児期のBMIは、生後6か月までに急増してピークとなった後徐々に低下し、5歳頃に最も低くなり、再度上昇に転じます。

このように、年齢によってBMIが大きく異なる幼児期の体格評価にBMIの絶対値を用いることは困難であるため、満3か月から5歳までの乳児・幼児には以下カウプ指数が用いられます。

 

カウプ指数計算式 (産後3ヶ月〜5歳)

カウプ指数 = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

 

式はBMI計算式と同じなのですが、BMIとの違いは、年齢によって判断方法が変わってくることです。

以下表はカウプ指数値をもとに各年齢での判断方法を示しています。表のとおり、年齢によって正常値や肥満を示す値は変わってきます。

※年齢ごとの表を添付

 

学童の場合

学童と言われる小学生にあたる期間は、身長の変化で判断方法が大きく変わってくるため、BMIでもカウプ指数でもなくローレル指数が使われます。

 

ローレル指数計算式(小・中学生)

ローレル指数 = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) × 10

 

以下添付の表のとおり、

ローレル指数が130程度で標準的な体型とされ、プラスマイナス15の、115 ~ 145未満程度に収まっていれば標準とされます。

145を超えると「太りぎみ」で、160以上は「太りすぎ」、100未満で「やせすぎ」とされます。

※表を添付

 

 

肥満と病気について

生活習慣病

ここでは肥満と病気の関連性について詳しく説明していきます。

先ほども説明しましたが、BMI25以上で肥満とされます。

BMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされていますが、BMI25を超えると糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病リスクが2倍以上となり、BMI30を超えると、より高度な肥満として積極的な減量治療を要するものとされています。

肥満との関係で最も注目すべき病気がメタボリック症候群などから発症する糖尿病高血圧脂質異常症などの生活習慣病です。さらに放置させると、病気を悪化させ血管を傷つけたり、もろくしたりして、やがて動脈硬化を引き起こします。その結果、心筋梗塞脳卒中腎不全などの重大な病気へと進む原因ともなります。

 

肥満と生活習慣病

糖尿病

糖尿病は誰もが知っている代表的な生活習慣病です。

高血糖が慢性的に続く状態のことで、網膜症、腎症、神経障害の三大合併症をともなう危険性をひそめています。

一度発症すると、発症後ずっと付き合っていかなければならない病気であるため、日頃から予防しておくことが重要です。

高血圧

高血圧は一般的に「塩分の摂り過ぎが原因」というイメージが強いかと思います。

確かにそれも原因なのですが、最近は肥満が原因の高血圧が特に若年・中年の男性に増えています。

高血圧は長く続くことで心臓や腎臓の病気、動脈硬化などの脳血管疾患へのリスクが高まります。

脂質異常

脂質異常症は血液中の資質の濃度が基準範囲にない状態のことで、食事から摂る脂質が多すぎたり、脂肪細胞に脂質がたまり過ぎると発症しやすくなります。

脂質異常による自覚症状が何かあるというわけではありませんが、血管が固くなったり、血管内が狭くなるなどの動脈硬化になる確率が高くなります。

さらに、動脈硬化は脳卒中や、心臓の病気である狭心症や心筋梗塞などの重篤な病気に繋がります。

心筋梗塞

動脈硬化によって、心臓の血管に血栓が生じて、血液が流れなくなり心筋の細胞が壊れてしまう病気です。

発症時には胸に激痛があり、呼吸困難や脈の乱れといった症状を伴うケースがあります。

心臓の血管が一瞬で詰まってしまい突然死する場合もあります。

脳卒中

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称を脳卒中といいます。
脳梗塞は脳の血管が詰まった状態です。さらに高血圧の程度が強いと、脳の血管が破れる脳出血、脳の血管に動脈瘤が発生・破裂してしまうのがくも膜下出血です。

監修者 吉澤さん管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント

他にも、肥満はがんの発症と関係していると言われています。

脂肪細胞が分泌するアディポネクチンには、細胞の増殖を抑える働きもあるのですが、内臓脂肪の過剰な増殖により、
アディポネクチンの分泌が減ると、がん細胞が増殖し、がんを発症するリスクが高まるとされています。

国立がん研究センターの大規模な調査の結果によると、閉経後の乳がんは、肥満との関連が【確実】とされています。大腸がんと肝がんでは、肥満との関連が【ほぼ確実】とされています。また、子宮内膜がんと閉経前の乳がんでは、【肥満と関連している可能性がある】とされています。

このように肥満には恐ろしい病気を発症させる恐れがあるのです。

ただこれは氷山の一角に過ぎず、他にも肥満が原因で骨や関節への負担が大きくなり、腰痛や膝痛などの関節障害を起こしやすくなります。

さらに、高尿酸血症から痛風をまねいたり、脂肪肝すい炎を促進したり、あるいは突然死の原因ともなる睡眠時無呼吸症候群にも大きな影響を及ぼすというように、、怖いですね。

まとめ

BMIについて説明してきましたが、どうでしたか?

本記事を簡単にまとめると以下の通りです。

  • BMIは自分が太っているか、痩せているかを知るために大事な指標
  • 計算式は以下です。

   └BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

    ※単位に注意!

  • BMI25以上で肥満、BMI22で標準体重
  • 妊婦や子供のBMI計算方法は異なります!

   └詳しくはこちらから

  • BMI25以上の肥満状態を続けると、糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病から、死に直結するような重篤な病気へ発展する恐れがある。

 

BMIを把握しておくことで、自分の命を守ることにつながります。

簡単な計算であるため定期的に確認するようにしましょう!

監修者一覧

監修者 吉澤さん吉澤 航輔

  • 管理栄養士とNSCA-CPT(パーソナルトレーナー)の資格を持つ
  • 営業マンとして働きながら、独学でパーソナルトレーナーの資格を取得
  • トレーナー×管理栄養士のノウハウを活かし、トレーニング指導や食事指導を行う
  • Instagram:https://www.instagram.com/a.kosuke0701/