脂質制限と糖質制限

健康志向な人を中心に、食事中の糖質や脂質を制限するダイエット法が広まっています。エネルギー源となる糖質や脂質を制限するとカロリーの摂取量が抑制され、太りにくい体になります。

ただし、糖質か脂質どちらか一方の制限が前提です。両方制限すると、エネルギーが足りずに体調不良を起こす恐れがあります。

では糖質と脂質、どちらを制限してダイエットすると効果的なのでしょうか。

今回は、糖質制限と脂質制限の特徴やメリット・デメリットを解説して比較します。どちらがダイエットに効果的なのか知りたい場合に、参考にしてみてください。

脂質制限とは?

脂質制限とは、脂質の多い食品の摂取を制限するダイエット方法です。

三大栄養素と呼ばれるエネルギー源は、脂質・タンパク質・糖質。3つのうち、脂質は1gから産生されるエネルギー量がタンパク質や糖質よりも約2倍多いため、脂質制限すると産生エネルギー量が抑制されます。※

エネルギーが過剰に産生されると、体内で余って肥満の原因になります。エネルギー源となる脂質の摂取量を減らし、作られるエネルギー量を減らすのが脂質制限ダイエットです。

※厚生労働省. 「脂質「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf, (参照 2021-10-15)

1日に取って良い脂質量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書によると、食事からの脂質の目標摂取量は次のとおりです。

· 成人男性:20~30%エネルギー
· 成人女性:20~30%エネルギー

%エネルギーとは、1日の総エネルギー摂取量に占めるエネルギー比率です。例えば、1日2,000kcalの成人男性の場合なら、脂質の目標摂取量は400~600kcalに当たります。※

脂質の中には、必須脂肪酸と呼ばれる体内で合成できない脂質の種類があります。体に必要な栄養素が得られなくなるため、脂質を完全に断つのは危険です。

また、脂質の摂りすぎは肥満の原因になるため、脂質の多い食品の食べすぎも気を付ける必要があります。

脂質制限する際は、上記の目標摂取量を目安に脂質を制限しましょう。

首藤陸JATI-ATI認定トレーナー 首藤陸 コメント

ダイエットをするうえで誘惑に負けないためには、目標設定を絶対に成功させるというメンタルをつける事がおすすめです。
目標を設定する事で、達成しようとして、途中で妥協してしまうリスクが低くなります。
さらに、継続して、体が変わっていくことで、モチベーションを保つことも可能です。
なので、目標設定を行い、成功させるという強いメンタルを持つと良いでしょう。


※厚生労働省. 「脂質「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf, (参照 2021-10-15)

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監修者一覧はこちらをご覧ください。

 

脂質制限のメリット

脂質制限するメリットは、糖質制限よりも低減できるカロリー量が多いことや炭水化物を制限する必要がないことです。また、リバウンドを防げるため、今までダイエットしてもリバウンドを繰り返していた人にもおすすめ。

ここでは、脂質制限のメリットを3つ紹介します。

カロリーが減らしやすい

前述のとおり、三大栄養素の中で脂質が最もカロリー産生量の多い栄養素です。

脂質1gに対して9kcalのエネルギーが産生されます。タンパク質や糖質の場合は、1g4kcalしかエネルギーが産生されないため、同じ量を摂取制限しても脂質ほどカロリー減少にはなりません。※

効率よく摂取カロリーを減らせることが、脂質制限のメリットです。

※飯田薫子、寺本あい. 「一生役立つきちんとわかる栄養学」. 第1版23P. 2019-07-25. (入手 2021-10-15)

炭水化物が食べられる

脂質制限では、基本的に炭水化物は通常通り摂取します。

白米やパンなどの主食を制限しないため、空腹を感じにくく続けやすいことがメリットです。糖質制限が続かなかった人でも、脂質制限なら継続しやすい可能性があります。

リバウンドしにくい

脂質制限は筋肉が落ちにくく、リバウンドしにくいこともメリットです。

タンパク質や糖質を制限すると、筋肉に貯蔵されたタンパク質や糖質をエネルギー源として利用するため、筋肉が落ちやすくなります。

一方、脂質制限ではタンパク質や糖質は通常量を摂取します。そのため、エネルギー源が不足して筋肉が落ちる心配はありません。

脂質制限のデメリット

脂質制限には多くのメリットがありますが、デメリットの存在も忘れてはいけません。デメリットを理解しておかないと、ダイエットを続けるのは難しいからです。

ここでは、脂質制限のデメリットを3つ紹介します。

外食が楽しめない

脂質制限では、脂っぽい食べ物を避ける必要があります。

外食は揚げ物や脂質の多い食品を多く使っていることも多く、選べるメニューが限られてしまうことがデメリットです。肉類の脂やドレッシングの油など、細かい脂質にも気を配らなくてはなりません。

周囲の人が好きなものを食べている中、外食のメニューが限られてしまうことは精神的にも負担になります。

 

首藤陸JATI-ATI認定トレーナー 首藤陸 コメント

僕の経験上、食事制限で失敗されているお客様の多くは目標設定と期間設定ができていない傾向にあります。
目標設定と期間設定ができていなければ「今日ぐらいいいや」という甘い気持ちが出てしまい、食事制限やトレーニングを継続する事ができません。
結果、暴飲暴食をしてしまったり、ちょこちょこお菓子を食べてしまったりします。
なので、ダイエットを始める前に目標設定と期間設定を行い、継続できる環境を作ることが食事制限に失敗しないために重要です。

調理法にも制限がある

脂質制限では油を避けるため、調理法が限定されることもデメリットです。

茹でる・煮る・蒸すなど、油を使わない調理法ではバリエーションが限られ、調理法がワンパターン化してしまいます。調理方法が限定されるのは、料理に飽きてダイエットを継続できない原因です。

グリルやフッ素樹脂加工のフライパンを使うなど、油を使わずに焼く工夫も重要です。

なかなか効果が実感できない

脂質制限は、糖質制限と比べて効果を実感しにくいことがデメリットです。糖質制限は比較的早く効果が現れるため、脂質制限の体重減少は穏やかに感じてしまうかもしれません。

効果を実感しにくい理由は、脂質は完全に食事から除去できないからです。

脂質の中には、必須脂肪酸と呼ばれる種類があります。必須脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要のある栄養素です。

糖質のように大幅な制限するのが難しく、体重への効果が現れにくく感じます。

脂質制限中におすすめの食品

脂質制限中は、野菜やきのこ類、果物を中心に摂取しましょう。脂質の含有量が少なく、摂取量を気にする必要があまりありません。

肉類は避けるべきと誤解されがちですが、脂肪部分を取り除けば、脂質制限中でも摂取可能です。以下の表のように、同じ和牛でも赤肉と脂身では脂質とカロリーが大きく異なります。

食品名(100g) エネルギー(kcal) タンパク質(g) 脂質(g) 炭水化物(g)
和牛肉(もも、赤肉) 193 21.3 9.7 0.6
和牛肉(もも、脂身) 728 4.4 69.2 0

文部科学省. 「日本食品標準成分表」. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/11/30/1365343_1-0211r8_1.pdf, (引用 2021-10-15)

魚介類に含まれる脂質は、不飽和脂肪酸と呼ばれる必須脂肪酸を含むため、極端に避ける必要はなく、むしろ積極的に摂取したい食品です。

気を付けたいのは、飽和脂肪酸を多く含むパン類です。

飽和脂肪酸は血中コレステロールを増加させ、生活習慣病のリスクを高めるため、脂質制限中は避けましょう。飽和脂肪酸の多い食品は、次のとおりです。

ショートニングやバターは、パン類に多く含まれています。

食品名(100g) 飽和脂肪酸(g)
やし油 83.96
ココナッツパウダー 55.25
食塩不使用バター 52.43
ショートニング(業務用) 51.13
有塩バター 50.56

文部科学省. 「食品成分データベース」. https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html, (引用 2021-10-15)

監修者 秋山さん★管理栄養士 秋山真敏 コメント

脂質制限中のおすすめメニューを紹介させてもらいます。

<脂質制限中のおすすめメニュー1>
胸肉水晶鶏(鶏胸肉1/2枚分を調理したもの)・・・カロリー…196kcal、脂質…4.5g 

鶏胸肉を一口大に切って、片栗粉をまぶしたものをたっぷりのお湯で茹で、冷やしてソースをかけて食べるメニューです。
鶏胸肉は調理でパサパサになりにくいメニューですが、この調理法だとパサパサになりづらいです。

<脂質制限中のおすすめメニュー2>
ローストビーフ(1人前 40gあたり)・・・カロリー…78kcal、脂質…4.7g 

ローストビーフに使われる牛肉は、タンパク質も多く摂れるため、脂質制限中に生じやすい空腹感を予防する効果が期待できます。
一緒に野菜を食べやすく、低カロリー、低脂肪で満足感の高いメニューです。

<おすすめメニュー3>
スモークサーモン(4枚 40gあたり)・・・カロリー…64kcal、脂質…2.0g 

スモークサーモンは、余分な油を落とす調理をされている低脂肪メニューです。
サンドイッチに挟んだり、サラダと合わせて食べたりすると美味しく継続して食べることができます。

糖質制限とは?

糖質制限とは、糖質が多く含まれる白米やパン、麺類の摂取を制限するダイエット方法です。

そもそも糖質とは、食物繊維以外の炭水化物を指します。糖質制限では、炭水化物のうち糖質をできるだけ制限する方法です。

ここでは、糖質制限中に摂って良い糖質量の目安と糖質制限のメリット・デメリット、おすすめの食品を解説します。

1日に摂って良い糖質量

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書によると、平常時の炭水化物の食事摂取基準は、成人男性・成人女性ともに50~60%エネルギーです。※

糖質制限する場合は、1日炭水化物摂取量を15%エネルギー以下に抑えると有意に血中糖質指標のHbA1cが減少すると報告されています。ダイエットが目的のときも、15%エネルギーを目安に糖質を摂取すると良いでしょう。

※厚生労働省. 「炭水化物「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586559.pdf, (参照 2021-10-15)

糖質制限のメリット

糖質制限には、主に3つのメリットがあります。

ここでは、脂質制限と比べてメリットになるポイントを紹介します。

効果が実感しやすい

糖質制限のメリットは、効果を実感しやすいことです。

肥満の原因はいくつかありますが、食事が原因になるのは血糖値の上昇です。食事に含まれる糖質が血中に溶け込み、食後に上昇します。

通常はインスリンと呼ばれるホルモンが、血糖値を下げる働きをして正常値に戻すメカニズムです。しかし、食事中の糖質の量が多いとインスリンの効果が間に合わず、血糖値が高いまま維持されます。血中で余った糖質は組織に蓄積され、肥満が起こります。

糖質制限すると血糖値が上昇しにくくなるため、体重減少の効果を感じやすいのがメリットです。

リバウンドしにくい

リバウンドしにくいことも、糖質制限のメリットです。

糖質を制限すると、代わりのエネルギー源としてタンパク質や脂質が使われます。タンパク質が使われてしまうと筋肉量が減ってしまいますが、脂質を摂取していればエネルギー源の不足しにくいため、筋肉量が落ちにくいと考えられています。

食事量を変えなくて良い

糖質制限では、摂取カロリーを制限する必要はありません。食事量を変えなくても良いため、空腹を感じにくく、満足感の高いことがメリットです。

タンパク質や脂質は普段通りに食べてもよく、糖質の多い主食を減らすだけの手軽なダイエット方法です。

糖質制限のデメリット

脂質制限と同様に、糖質制限にもデメリットが存在します。

ここでは、糖質制限のデメリットを2つ紹介します。

体調を崩す可能性がある

糖質制限のデメリットは、体調を崩す可能性があることです。糖質の多い食品を食べなければ他のものは何でも食べて良いと勘違いし、脂っぽいものを多く食べてしまうと消化不良や肥満のリスクが高まります。

また、糖質を制限するあまり、エネルギー源が不足して次の症状が現れる可能性もあります。

· めまい
· 頭痛
· 集中力の低下
· 手足の震え
· 動悸
· 冷や汗
· 疲労感

糖質は、三大栄養素の中で唯一脳のエネルギーとなる栄養素です。極端に摂取を制限してしまうと、脳へ送る糖質が不足して上記のような症状が起こります。

普段の食事よりも糖質を減らすことを心がけ、まったく糖質を摂らないことのないようにしましょう。

効果には個人差がある

糖質制限に限らず、ダイエットの効果には個人差があります。

主食を少し減らしただけで大きな減量に成功する人もいれば、まったく変化を感じられないケースもあり、一概に誰でも効果があるとは言えません。

ダイエットは、自分に合った方法を探すことが重要です。

糖質制限中におすすめの食品

おすすめの食品は、次のとおりです

· 肉類
· 青魚
· 野菜
· 卵
· 大豆製品
· きのこ類

糖質は砂糖や甘味料に多く含まれているため、菓子類の間食はやめましょう。小麦粉や米粉を使った製品、タピオカやじゃがいも・さつまいもなどのいも類も避けます。

監修者 秋山さん★管理栄養士 秋山真敏 コメント

糖質制限中のおすすめメニューを紹介させてもらいます。

<糖質制限中のおすすめメニュー1>
オムレツ(卵2個分)・・・カロリー…180kcal、糖質…0.6g 

卵は糖質制限中に毎日でも食べたい食品です。
毎日食べても飽きないようにレトルトのパスタソースをかけたり、キノコを炒めたものを中に巻き込んだりするのがおすすめです。

<糖質制限中のおすすめメニュー2>
刺身のカルパッチョ(一人前)・・・カロリー…268kcal、糖質…2.7g 

刺身は低糖質・高タンパクの食材で、毎日食べても問題ない食品です。
カルパッチョにすると、良質な脂質も補給できるのでおすすめです。

<糖質制限中のおすすめメニュー3>
チャーシュー(5枚)・・・カロリー…60kcal、糖質…1.8g 

チャーシューは長期保存できる糖質制限向き食品です。
半熟目玉焼きと一緒に食べたり、ネギと和えておつまみ風にしたりなどアレンジがしやすく、一品足りない時にすぐ調理できるおすすめのメニューです。

脂質制限と糖質制限どっちがいいの?

脂質制限と糖質制限をそれぞれ解説してきましたが、結局どちらの方がダイエットに向いているのでしょうか。

ここでは、脂質制限と糖質制限を比較し、どちらがより効果的か解説します。

糖質制限の方が効果を得やすい

一般的には、脂質制限よりも糖質制限の方が効果を得やすいと考えられています。

脂質はさまざまな食品に含まれており、制限するのが難しいからです。体に必要な必須脂肪酸は摂らなくてはならないため、制限できる量が限られていることも理由の1つ。

脂質制限はゆっくりと体重減少が起こり、効果を得にくいでしょう。

一方、糖質は白米・パン類・麺類などの主食に多く含まれ、野菜や肉類には少ないことが特徴です。主食の量を減らし、代わりに野菜や肉類を多く食べるため、満足度も高く継続しやすいメリットもあります。

脂質制限よりも効果が早く現れる傾向にあり、すぐに効果を感じたい場合におすすめのダイエット方法です。

どちらも個人差がある

糖質制限の方が効果を得やすいと考えられていますが、人によっては糖質制限よりも脂質制限の方が効果的な場合もあります。

効果の現れ方や感じ方には個人差があるためです。そのため、どちらが良いとは一概には言えません。

まずは一般的に効果の得やすい糖質制限を試し、自分には合わないと感じたら脂質制限を試すのも1つの方法です。

脂質制限が向いている人の特徴

これからダイエットを始める場合、糖質制限と脂質制限のどちらを選ぶか迷いますよね。

そこで、糖質制限よりも脂質制限の方が向いている人の特徴を紹介します。どちらのダイエット方法を選ぶか迷ったときの参考にしてみてください。

空腹が苦ではない

脂質制限は、空腹が苦ではない人に向いているダイエット方法です。

腹持ちの良い脂質を制限すると、次の食事までに空腹を感じやすくなります。脂質は多くの食品に含まれているため、脂質制限では食べられるものが限られてしまうのも空腹を感じやすい理由の1つです。

空腹を感じても間食を我慢できる人には、脂質制限が向いています。

炭水化物の制限がつらい

効果を得やすくても、炭水化物を制限するのがつらいと感じる人は脂質制限がおすすめです。

炭水化物は白米やパン、麺類など主食に含まれており、ラーメンや菓子パンが好きな人には向いていません。脂質制限では主食を抜く必要はないため、満足感を得やすいダイエット方法です。

糖質制限が向いている人の特徴

次に、脂質制限よりも糖質制限の方が向いている人の特徴を解説します。

脂質制限に向いている人の特徴は、空腹が苦ではない人や炭水化物を制限するのがつらい人でした。一方、脂質制限は、以下の人に向いています

· 運動する機会が少ない
· 普段どおりの量を食べたい
· 主食は減らしてもおかずは減らしたくない

それぞれの特徴を詳しく解説します。

運動がなかなかできない

脂質制限よりも糖質制限に向いているのは、なかなか運動できない人です。

一般的なダイエットでは、食事制限と運動を一緒に行います。しかし、運動する暇のない人や運動が苦手な人には難しいことがデメリットです。

正しく糖質制限すれば、運動制限しなくても体重減少の効果を期待できます。

糖質は、脂質やタンパク質よりも先に分解・吸収されるエネルギー源です。糖質制限すると、糖質の代わりに体内に蓄積している脂質がエネルギー源として使われ、脂肪燃焼が促進されます。

そのため糖質制限は、運動を一緒に行わなくても効果を実感しやすいダイエット方法です。

食べる量は変えたくない

糖質制限は、食べる量を変えたくない人に向いています。

炭水化物を多く含む主食を減らし、減らした分はおかずで補うダイエット方法のため、食べる量は普段と変わりません。脂質制限とは異なり、食事のカロリーを減らすのではなく、内容をよりヘルシーなものに変えるイメージです。

また、脂質制限では脂っぽいものや油で焼いた食事も避けなくてはならず、食べられるものや調理法が制限されます。しかし糖質制限では、主食を減らすだけでおかずは比較的幅広く食べられます。

調理法に気を付ける必要もなく、少量なら脂っぽいものを食べることも可能です。

主食よりもおかずが好き

主食よりもおかずが好きな人も、糖質制限ダイエットに向いています。

糖質制限は、主に主食を減らすダイエット法です。主食となる白米やパン、麺類の主成分は炭水化物のため、主食を減らすだけで糖質制限の効果が得られます。

主食を減らした分はおかずを増やせるため、おかずが好きな人に適しています。主食は減らしてもおかずは減らしたくない人も、糖質制限がおすすめです。

脂質制限と糖質制限を行う際の注意

最後に、脂質制限と糖質制限を行うときに注意したいポイントを2つ紹介します。

脂質と糖質は本来、体を動かすエネルギーとなる栄養素です。自己流で脂質制限や糖質制限を行うと、体調不良を起こすリスクもあります。

正しい方法で脂質制限・糖質制限を行って、健康的に減量を目指しましょう。

両方一緒にはやらない

脂質制限と糖質制限を同時に行えば、より効果的に痩せられるのでは感じますが、実は両方一緒にやるのは危険です。

三大栄養素のうち、脂質と糖質の2つを制限してしまうと、タンパク質のみでエネルギーを産生する必要があります。しかしタンパク質だけでは必要なエネルギー量を産生できず、筋肉に貯蔵されているタンパク質が融解され利用されます。

脂質制限と糖質制限を同時に行うことは、筋肉の融解が起こって筋力低下や基礎代謝の低下を引き起こす原因です。ダイエットのつもりが、反対に基礎代謝を低下させて太りやすい体質へと変化してしまう可能性もあります。

ただし、脂質制限と糖質制限を交互に行うのは問題ありません。どちらかに飽きてしまった場合や効果が薄れてきたと感じる場合は、他方へ切り替えるのも1つの方法です。

「調整」することを意識する

脂質制限・糖質制限をするときは、食事の調整していることを意識しましょう。

三大栄養素である脂質と糖質は、完全に食事から排除できません。エネルギー源がなくなれば、生命維持が難しくなるからです。

脂質制限や糖質制限は、食事制限というよりも食事の調整との意識を持つことが大切です。食事のバランスを調整し、太りにくい栄養素を中心に食べるイメージを持ちます。

言葉の意味でも、制限より調整と考える方がマイルドで取り組みやすいでしょう。

監修者 秋山さん★管理栄養士 秋山真敏 コメント

リバウンドを起こしてしまう方のほとんどは、基礎代謝が低下しています。

基礎代謝が下がる原因は、糖質もしくは脂質を制限しすぎてしまっているからです。
制限ダイエットは取り組みやすく継続しやすい反面、必要な栄養が取れず、体の調子を崩してしまうリスクがあります。

ダイエット中に基礎代謝を下げないためには、以下の2点を守るようにしてください。
①基礎代謝×1.3kcal以上のカロリーが取れているか確認する
②体重×1g以上のタンパク質をとれているかを確認する

まとめ

脂質制限と糖質制限の特徴やメリット・デメリットを次の表にまとめました。

ダイエット方法 脂質制限 糖質制限
特徴 脂質の多い食品を制限し、摂取カロリーを減らす方法 炭水化物の多い主食を減らすダイエット方法
メリット · 摂取カロリーを減らしやすい
· 主食を食べても良い
· リバウンドしにくい · 効果を実感しやすい
· リバウンドしにくい
· 食事量を減らさなくて良い
デメリット · 外食を楽しめない可能性も
· 調理法に制限がある
· 効果を実感しにくい · 体調を崩す可能性がある
· 効果に個人差がある
おすすめの食品 野菜類・果物・きのこ類 肉類・野菜類・青魚・大豆製品

それぞれにメリットとデメリットはありますが、比較すると糖質制限の方が効果を得られやすいと考えられています。どちらも効果には個人差があるため、自分に合った方法を選びましょう。

ただし、脂質制限と糖質制限を同時に行うのは避けます。

エネルギー源である脂質と糖質の両方を制限してしまうと、エネルギーが足りずに筋肉量が減少したり、基礎代謝が低下したりする恐れがあるからです。

また食事制限というよりも、食事バランスの調整との意識を持って取り組むと、ダイエットは成功しやすいでしょう。

監修者プロフィール 

監修者 秋山さん★管理栄養士 秋山真敏